相続ブログ第5回:遺留分と遺言の関係
はじめに
「遺言に書いてある通りに分けてもらえれば安心」と思っていませんか?
実は、相続人には法律で保証された 「遺留分(いりゅうぶん)」 という取り分があり、遺言の内容がすべてそのまま実現されるとは限りません。
今回は、遺留分の基本と遺言との関係を宮崎の行政書士がわかりやすく解説します。
遺留分とは?
遺留分とは、相続人に認められた 最低限の相続分 のことです。
被相続人が「財産を全て長男に渡す」と遺言を書いても、法律上、他の相続人には遺留分を主張する権利が残されます。
遺留分が認められる相続人
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配偶者
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子(直系卑属)
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両親(直系尊属)
※ 兄弟姉妹には遺留分はありません。
遺留分の割合
民法で決められている遺留分の割合は以下の通りです。
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配偶者+子:相続財産の 1/2 が遺留分の対象
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配偶者のみ、子のみ:同様に 1/2
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両親だけ:相続財産の 1/3
例えば財産が2,000万円ある場合、子2人に対して「長男に全部」と遺言しても、次男には最低でも500万円の遺留分を請求する権利があります。
遺留分侵害額請求とは?
遺留分を侵害された相続人は、他の相続人に対して「遺留分を返してほしい」と請求できます。
これを 遺留分侵害額請求 と呼びます。
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請求できる期限:相続開始と侵害を知ってから 1年、相続開始から10年
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遺言書の効力を覆すわけではなく、金銭での支払いが原則
遺言と遺留分の関係
遺言は自由度が高い一方で、遺留分を侵害してしまうとトラブルの原因になります。
そのため、次のような工夫が必要です。
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付言事項で気持ちを伝える
「特に世話をしてくれた長男に多く残したい」など、理由を記して理解を得る。 -
遺留分に配慮した財産配分にする
大きく偏らないよう調整する。 -
専門家に事前相談
相続人の人数や財産内容を踏まえてシミュレーションする。
まとめ
遺留分は、相続人の最低限の権利を守るための制度です。
遺言を書くときには、遺留分を無視してしまうと争いの火種になります。宮崎でも、遺留分をめぐるトラブル相談は少なくありません。
かねこ行政書士事務所では、遺言作成時に遺留分を考慮し、円満な相続を実現するためのお手伝いをしています。安心して相続を託したい方はぜひご相談ください。