今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
また、今回は「限定承認」についての声ですが、この限定承認は本文の様に非常に便利なものですが、相続人すべてで行う必要があります。よって、相続人が多数いたり、意見の相違があった場合には利用できない場合もあります。
先日、父が死亡し、娘である私が父を相続することになりました。私が幼い頃に両親が離婚して以来、音信不通であったため、いくら財産があるのか、いくら負債があるのかが全くわからず、直ちに相続を開始できない状態でした。というのも、民法上、相続財産に手をつけた時点で、「単純承認」をしたと見なされ、プラスの財産も、マイナスの財産も、その全てを相続することになってしまうからです。
そこで私は、「限定承認」という方法を選択しました。限定承認とは、民法922条に規定されてるもので、相続によって得た財産の限度においてのみ、被相続人の債務等を弁済すべきことを留保した制度です。例えば、相続財産が1000万円で、負債が1500万円あったとします。単純承認をしてしまうと、相続人は1500万円全てについて弁済する義務を負いますが、限定承認という手続きをとれば、相続財産の1000万円をこえる500万円については、弁済する義務を負いません。
私の場合、父と長い間、音信不通であったため、父の生活状況等がわからなかったので、どのような借金が出てくるかわからない状態でした。
しかし、この限定承認という相続方法を選択することで、後にどのような借金が出てきても、相続財産の範囲を超えて支払いをする必要はないため、安心して相続をすることができました。
ここがポイント!
お声を頂きありがとうございます。相続で、相続人は、単純承認、相続放棄、そしてこのお声に出てきます限定承認のどれかを選択します。単純承認は単純にそのまま相続するケースです。多くがこのケースです。次に相続放棄です。亡くなった方に、借金などの債務が多い場合、その相続はしませんよ、関係ありませんよという方法です。原則、相続があったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。次にこのお声に出てくる限定承認は、プラスの財産とマイナスの財産どちらが多いか分からない場合など、プラスの財産が多ければその分だけ相続しますよという方法です。ただし、このお声にもあるように、限定承認は相続人全員で行う必要があります。
宮崎県行政書士会宮崎支部
かねこ行政書士事務所
金子 聡