今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
父が4月に亡くなりました。初盆を終えてから妹がお父さんの遺産を分けてほしいと言いだしました。私は予想しない言葉に驚きました。というのは妹は父親の死亡保険金1千万円をすでに受け取っていたからです。契約者が父、保険料支払いも父、死亡保険金の受取人は妹となっていました。
父は生前からわしが死んだら1千万円の保険金が妹に入る。先祖からの家屋敷は全て私が引き継げと言ってました。田舎の事ですから、相続税の評価額は2千万円程度です。妹にお父さんはお前に1千万円の保険金が入る。家屋敷は兄の私が全部引き継げと言っていたと説明すると、とんでもないことを言いだしました。生命保険金は本来の相続財産でないから別勘定です。相続財産の一部を欲しい言うのです。私はあっけにとられて困っています。どうしていいのか分かりません。
兄弟の仲はよく、そんなことを言いだすはずのない妹ですが、人が変わったようになって主張します。母もなく、兄弟仲良く何時迄もと思っていたのですが、兄弟の信頼関係が崩れてしまいそうです。先祖の家屋敷や田畑は父の言葉もあり絶縦に処分できません。妹を説得するしかないと、時々呼んで話をしています。
ここがポイント!
お声をいただきありがとうございます。このお声にもあるように、生命保険金は民法上の相続財産ではありません。税法上は相続税の課税対象財産です。ただし、相続人1人あたりにつき500万円の控除額がありますので、このお声のケースでは相続人が2人で1000万円の控除がありますので、相続税上も気にすることはなさそうですね。このお声にもあるように不動産を相続する場合は、分けにくいというのが問題です。持ち分を分けることも出来るのですが、それは問題を先延ばしにしているの過ぎません。玄関は弟、リビングはお兄ちゃんというわけにはいかないのです。ですからこのお声のケースでは、不動産の相続と生命保険金の受け取りをお兄さんにして妹さんにはお兄さんの不動産相続の代償金として生命保険金を分けるのがいい方法だったのです。生命保険金は民法上の相続財産ではないということは、生命保険金だけを受け取った人は更に請求出来るということにもつながります。保険金と遺言はセットで考える必要がありますよ。
宮崎県行政書士会宮崎支部
かねこ行政書士事務所
金子 聡