今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
Aさんは私の住んでいる市では有名な資産家です。大病院を経営していて資産は我々が想像できないほどあるようです。95歳で亡くなりましたが、90歳ころから痴呆が進んでいました。相続人は子供二人です。奥さんは既に亡くなっています。子供はその病院の院長と理事長を務めています。長男が理事長で、次男が院長です。表む向きは仲のいい兄弟にみえるのですが、その実はよくないようです。
Aさんが亡くなって暫らくしてから兄弟が相続の事で大変揉めていると知人を通じて知りました。事の発端は遺言状が2つ出てきたということです。一つは公証役場が保管していた公正証書の遺言状です。もう1つは93歳の時に作成した自筆による遺言です。遺言状としての形式には全く瑕疵がないそうです。90歳の時に作成した公正証書遺言状と自筆の遺言状の内容が大きく異なっています。公正証書遺言は兄に有利になるように作成され、自筆はその逆です。日付が後の遺言状に効果がある事は分かりますが、93歳で作製した時にぼけていて弟の言うなりに書いたに過ぎないと兄サイドは主張しています。
間もなく裁判に入るそうです。兄弟が仲たがいしては病院経営も決して上手くゆかないと思います。どうなることか、静かに見守っているしかありません。
ここがポイント!
お声をいただきありがとうございます。どこかで聞いたような話ですね。有名なカバン店だったような気がします^^その話は池井戸潤さんの小説にもなっていますのでお時間のある方はお読みください。このお声にもあるように、遺言書が2つでてきたら後の日付の方が有効です。公正証書遺言だから優遇されるといったことはありません。ただこのお声にもあるように自筆証書遺言の場合は、書いた時に、遺言する能力があったか?それは本人が書いたものか?などが問題になります。公正証書遺言でも、遺言能力については否定されたものもあるくらいです。ですから、ゆいごん書は、元気なうちに作らなければいけません。せっかくのゆいごん書がトラブルの火種とならないようにするには、元気なうちに書いておくことが大切ですよ。
宮崎県行政書士会宮崎支部
かねこ行政書士事務所
金子 聡