今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
田舎に住んでいる知り合いの話です。田舎ということもあり、彼女はかなり広い敷地の家に住んでいました。隣にはご主人の兄が住んでいて、少し離れた場所にご主人の一族の母屋がありました。それぞれの敷地の見た目はきちんと区切られていたのですが、じつは登記上はそれぞれの名義が複雑に入り組んでいる土地で、彼女の土地の大部分は隣の兄の名義でした。兄弟それぞれが仲が良かったころはさほど問題なかったのかもしれませんが、長い年月を経て双方の関係は悪化してしまい、近年は普段からの付き合いもほとんどない状態だったそうです。そんなときにお隣のご主人が亡くなり相続が発生しました。そこはお子様がいらっしゃらなかったので、兄弟である彼女のご主人にも相続権は発生しました。これを機会に複雑に入り組んでいる土地の名義問題を解決するよう勧めたのですが、感情的になっている彼女はそれは向こうが頭を下げてやることだと言い張りみずから動こうとはしません。そうこうしているうちに隣の兄嫁さえ存在を知らなかった遺言書がでてきました。そしてそこには兄嫁にすべての財産を譲る旨が記されており、この時点で彼女のご主人の相続権は無くなりました。兄弟間では遺留分の請求はできないのです。結局彼女は土地問題を有利に解決する千載一遇のチャンスを逃してしまいました。正確な法律知識を普段から身につけておくことの重要性を感じた経験でした。
ここがポイント!
お声を頂きありがとうございます。相続トラブルは、感情的な要素が非常に大きく影響します。ましてや親族間ともなるとなおさらです。このお声の中に出てくる「遺留分」は、配偶者、子供、直系尊属の相続人に限って認められています。このお声のように、被相続人の兄弟姉妹には遺留分は認められていません。よく相続トラブルになる例として、お子様のいないご夫婦のどちらかが亡くなられたケースがあります。この場合ゆいごん書がなければ、遺された配偶者は亡くなった配偶者の兄弟姉妹と遺産分割協議をしなくてはなりません。しかし兄弟姉妹には「遺留分」がありませんので、ゆいごん書を書いておけば原則その通りになるということです。あなたの大切な人をまもるためにも、ゆいごん書は必要です。
宮崎県行政書士会宮崎支部
かねこ行政書士事務所
金子 聡