今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
3年前、子がなくひとり暮らしだった父方の叔母の認知症が進みました。上の世代で残ったのは叔母だけ。裁判所に申し立て、選ばれた法的後見人に財産管理を任せました。3ヶ月後グループホームに入居、ほっとしていたところ、1年で亡くなりました。法定相続人はいとこ4人。後見人が預かった自筆遺言を裁判所で検認しました。日付は亡くなる5年前。その間に先立った伯父・伯母と、いとこのうち3人に金融資産を譲るとありました。土地家屋の記載がなく、遺言に従うと金融資産はいとこ3人で、土地家屋は4人で分けることになります。いとこ同士仲が良く、配偶者や親族に口を出す人がいないのは幸いでした。後見人だった司法書士に相続手続きを依頼し、遺言に記載された3人が分配のやり直しに同意。4人で遺産分割協議書を作成しました。不動産の処分など面倒もありましたが、無事に分配できました。叔母は思ったより早く亡くなりましたが、事後処理費用困らずに済んだ上、遺産も残ったのは本当にありがたいことでした。
ここがポイント!
お声がけ頂きありがとうございます。叔母さんはしっかりと準備されていたようで、すごい方だなと思います。やはりこのお声からも分かるように、遺言があるのとないのとでは大きく違います。例えもめそうになくても、手続きの煩雑さを考えると遺言がないと非常に面倒なのです。ただあえて申し上げるならこのお声の遺言は、問題点もあります。売る予定であるような不動産や分配できる金融資産であれば、3人で4人でといった分けてという遺言もいいのですが、分けられないもの、分けにくいものであれば、結局遺産分割協議をしなくてはいけなくなり、遺産分割協議をしなくてよいという遺言のメリットが生かせなくなります。ですから、遺言をされる場合は、この財産をどうするのかのゴールを考えておかなければなりません。最近では、精算型のゆいごん書も増えてきました。時代の変化とともに、ゆいごん書も変わってくるのかもしれませんね。
宮崎県行政書士会宮崎支部
かねこ行政書士事務所
金子 聡