今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
昨年の夏に主人の祖父が亡くなりました。
祖父には土地とアパート一棟、そして居住用の建物二棟がありました。
相続人は祖父の妻である祖母、そして娘二人の計三人が法定相続人でした。
しかし、祖父は生前に公証役場に出向き、遺言書を残していました。
祖父の葬儀の為に、新聞広告の欄に葬儀の日程等を掲載したのを見てなのか
連絡が入り、葬儀がまだ終わっていないのにもかかわらず遺産に関しての
遺言書の存在を親族が知ることとなりました。
葬儀も無事に済ませ、公証役場の方へ相続人にあたる娘二人で遺言書の確認にいくと
娘二人にとって予想外の内容が記載されていました。
その内容とは、相続人である祖母や娘二人ではなく、祖父にとって初孫にあたる孫だけに
不動産や預貯金のすべてを相続させるという内容のものでした。
祖父が病に倒れてからの看病は娘二人でやってきて初孫はお見舞いにすら来ることはありませんでした。
当然、私の主人も孫にあたりますが、定期的にお見舞いに家族で行っていました。
財産は当然のことながら遺言書通りに相続が行われ初孫名義にすべて変更されました。
しかし、祖父のお墓の管理や残された祖母の面倒は今のなお、娘二人で協力してやっています。
財産はすべて初孫に持っていかれていまい、私としても娘二人の義理母や叔母が不憫に思えてしまいます。
ここがポイント!
お声を頂きありがとうございます。この遺言は、「遺留分」を侵害している可能性が高いですね。お声を読む限りでは、奥様にあたる祖母の方には全体の4分の1、娘さん2人にもそれぞれ全体の8分の1ずつを請求できるかと思います。ただし、生前贈与などの特別な受益を受けていた場合は、多少変わってきますのでご注意ください。しかしすべてを孫にという遺言は、明らかに遺留分を侵害していることが容易に想像されます。弊所でも遺留分のある相続人がいる場合のゆいごん書の記載については特に注意をするようにお伝えしています。しかし、この遺留分は減殺請求しなければ権利は発生しませんので、このお声のように他の遺留分権利者である相続人が請求しなければそのまま遺言通りということになります。遺留分のある相続人は、兄弟姉妹以外の相続人です。つまりこのお声の奥様と娘さん2人には当然ながら遺留分がありますね。
宮崎県行政書士会宮崎支部
かねこ行政書士事務所
金子 聡