今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
一昨年、祖母が97歳で他界した。大正生まれの気丈な人で、亡くなる1月前に脳梗塞で倒れるまで、記憶力も衰えずしゃんとしていた。幼い頃から祖母は怖い存在で、時には可愛いお婆ちゃんという顔も見せてたが、やっぱり成人しても頭が上がらなかった。頑固で喧嘩っ早い祖父の妻として仕え、子供を9人も育て上げたのだから気丈にもなるだろう。祖父を何年も前に看取り、やっと悠々な生活を過ごしてきたが、さすがに年には勝てず逝ってしまった。
生前、自分にはちょっとした預金があるという話はしていたが、いざという時はまだ先だろうと思い、さほど気にしていなかった。お葬式も無事済ませ、各種手続きのため持ち物を整理していると、祖母名義の通帳が2冊出てきた。そして、この処理がとんでもなく大変だった。預金口座の名義人が亡くなると、その口座は凍結され、親族であれ所定の手続きを取らないと引き出しが出来なくなるのだ。遺言があれば指定された人の手続きだけで済むのだが、祖母はそんなものは残していない。そこで法定相続人全員が対象となるのだが、既に他界した叔母達の子供たちも含めると、実に15人もの数になったのだ。全員から所定用紙に署名捺印をもらうのは、それは大変だった。
ここがポイント!
お声を頂きありがとうございます。この方のおばあちゃんのように、ピンピンコロリを望まれる方は多いですね。略してPPKともいうみたいですよ。このお声の中にもあるように、人が亡くなるとその亡くなった方の口座は凍結されます。親族であれ、勝手に引き出すことは出来ません。全員の合意、つまりは戸籍謄本などの資料と遺産分割協議書などを用意する必要があるのです。だから相続人が多くなれば、当然のように困難になり、トラブルに発展するケースがあるのです。このお声のケースで言えば、相続人が15人ということなので、14人が賛成でも1人が反対したりすれば成立しないということです。ここに遺産分割協議の困難さがあるのです。また相続人が多くなれば、当然のようにその中に行方不明の方や認知症の方などがいれば、家庭裁判所に各種申し立てをする必要があり、多大な時間と労力を使います。だからこそ、この方のおっしゃるように、遺言書が必要になってくるのですね。遺言書が必要かどうかはけっして財産のあるなしではありませんよ。
宮崎県行政書士会宮崎支部所属
かねこ行政書士事務所
金子 聡