今回も弊所あてに寄せられた体験談やご意見をご紹介致します。皆様もぜひ、ご参考になさってください。
旦那の親族の話です。旦那の祖母が亡くなりました。祖母は亡くなる前、5,6年は施設に入院しており、この1,2年はアルツハイマーも発症しておりました。
祖母の子供は4人です。長男、次男(既に他界)、長女、次女、それぞれ家族がおり、祖父は祖母が亡くなる4年前に亡くなっています。
基本的に長男夫婦が祖母のお金も管理しており、施設に入れたのも長男夫婦です。次男の嫁は頻繁に祖母の施設にお見舞いに行き、細々としたお世話をしておりました。
祖母が亡くなったあと、祖母が遺言書を作成していたことが分かりました。長男が保管しておりました。家族が集まり開封したところ、遺産の概要は祖母の持ち家、現金1000万とのこと。ただしこの時祖母の通帳などは開示されず、真実を知るのは長男のみ。遺言書によると、家、家財道具一式は長男に、現金1000万は長男、長男の嫁、次男の嫁、長女、次女の5等分とするとのこと。次男は亡くなっているので実際は次男の子供らが相続するのですが、お母さんである次男の嫁に渡すとのことでした。
長男の嫁も取り分があるのかということで、長女、次女は不服ながらも遺言書に沿った相続をしました。ただ、現金は本当に1000万だったのかという疑問もあり長女と長男での話し合いが持たれましたが、喧嘩別れになってしまい、その後長男より兄弟あてに絶縁状が届くこととなってしまいました。
元々長男とそのほかの兄弟で仲が悪かったのもありますが、絶縁状を書くという行為にまで至ってしまったことはとても残念です。
長男が祖母の遺産を既に使い込んでしまっていたのでは、と話してましたが、仕方がないのかもしれません。
ここがポイント!
お声を頂きありがとうございます。いや~なんとも悲しいケースですね。せっかく遺言書がのこされていたのに、まったくそれが生かされていない。専門家として、ゆいごん書の大切さを日々伝える者として、とてもはがゆく感じます。このケースで、まず気になるのは「遺留分」についてです。このケースだと法定相続分の半分までは「遺留分」として認められます。だから不動産の評価額にもよりますが、ご長男はもらいすぎなのではと思います。そして、遺言書に「遺言執行者」を選んでなかったことも問題です。「遺言執行者」は遺言の内容を実行する役割をもった人です。この遺言執行者をきちんと選んでおけば、相続財産目録作成などが義務となっているため、財産の内容も開示されると思いますので疑念などは払拭されるのかなと思います。そして、やはりメッセージがあったのかな?と思います。なぜそのように相続させようと思ったのか、その理由や祖母の方の思いを伝えておくべきだったのかなと思います。ゆいごん書は書くだけでは意味がありません。それがトラブルのもとになっては元も子もありませんよね。心に響く素敵なゆいごん書を書いてくださいね。
宮崎県行政書士会宮崎支部
かねこ行政書士事務所
金子 聡