僕は仕事で遺言書を主に扱っている。我ながら不思議に思う。なぜこの仕事を選んだのか。やはり、運命だと思っている。自分の意思を伝えたい、思いを残しておきたい、そんな僕自身のエゴなのかもしれない。やはり、3.11の東日本大震災は僕の人生を変えた。あんな凄まじい光景を僕は見たことがなかった。自然の恐ろしさ、人間の非力さ、原発の問題、僕らがこうして生きているのも、偶然の産物なのだ。そして人間の命は限りあるものであり、その瞬間がいつなのかは、僕らは永遠に知ることは出来ない。生き別れになった人々の苦悩を思うと胸が痛む。僕が今、死んだとしたら伝えたいこと。あなたの事を大切に思っていた思い。深夜ドラマで、「間違えられた男」というのをちらっと見た。最後にお世話になった人々、自分と関係していた人々に手紙を渡すシーンだった。涙がでた。話のあらすじはほとんど観てはいないのだが、涙がでた。僕も渡していこうと思った。人は日々の生活でどれだけ伝えているだろうか?日本には、「終わり良ければすべて良し」「立つ鳥跡を濁さず」など最後を意識した言葉が多くある。逆に言えば、最後までしっかり気を配る国民性なのかもしれない。僕はそんな日本人で良かったと思う。そして、そんな日本人には必ず遺言書は必要だと思う。僕には誰かに伝えたい言葉、思いがあります。あなたはどうですか?