自筆証書遺言
民法では、普通形式遺言として以下の3つが認められています。
・自筆証書遺言
・公正証書遺言
・秘密証書遺言
今回は、1番お手軽な自筆証書遺言についてお話しさせていただきます。
自筆証書遺言はお手軽ですが、いくつかの要件あり、これを欠くと遺言は無効になります。
要件①全部を自筆で書く。
全部自筆と定められていますので、ワードやワープロなどは使用出来ません。カーボン複写は有効とされています。テープやCD、DVDなどの記録媒体を使った音声や映像は法的効力を持ちません。よく問題になるのは、病気などの理由により字をうまく書けず、添え手をしてもらった場合です。判例では、「添え手によって他人の意思が介入しない場合は、遺言として認められる」としており、無効になるケースも十二分にあります。ゆえに、遺言書はお元気なうちに、書いておくのが良いと考えます。しかし、もう遅いよって方は公正証書遺言を利用しましょう。公証人が代わりに署名をしてくれます。
要件②日付の記載
これも有名な例ですが、○月吉日とした遺言は無効だということです。いまどき、吉日と署名する方の方がめずらしいとは思いますが、実際に無効とされたケースがございますので、お気を付けください。ただし、暦上の日付でなくとも客観的に特定出来れば良いとされています。「60歳の誕生日」「定年退職の日」なども有効とされています。しかし、よほどその日付に思い入れなどがない場合は、暦上の日付を記入されるのが良いと考えます。
要件③氏名の記載
遺言者が誰であるか特定出来なければ意味がありません。戸籍上の氏名でなくとも、例えばペンネームも有効とされています。
要件④押印
拇印でも有効だとされています。実印でなくとも良いとされていますが、こちらもよほどの思い入れがなければ、実印で押印されるのが良いと考えます。
以上が要件です。自筆証書遺言は費用も安く済み、お手軽ながら要件を満たせば法的に有効な遺言書です。ただ、遺留分や相続人以外に遺贈する場合など気を付けなければいけない点にご注意ください。