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相続・遺言・終活について

自筆証書遺言の保管制度の創設

自筆証書遺言の保管制度が令和2年7月10日(金)より施行されます。この保管制度を利用した自筆証書遺言は、自筆証書遺言で大変だとされていた家庭裁判所での検認が不要となります。自筆証書遺言の保管は、法務局で手続きを行います。保管の申請の出来る法務局は、遺言者の住所地、遺言者の本籍地、遺言者が有する不動産の所在地を管轄する法務局です。ただし、既に他の遺言書を他の法務局(遺言書保管所)に預けている場合には、その法務局(遺言書保管所)になります。

また、この遺言保管制度を利用するには、本人が直接法務局に出向き手続きを行う必要がありますので代理人等での手続きは出来ません。遺言書の保管の申請の予約をした上での、申請となります。保管の申請手数料は、1通につき3900円です。遺言書保管の手続きが終了したら、保管証が交付されます。当該自筆証書遺言の閲覧請求も当該自筆証書遺言の遺言者が存命中は、本人が直接法務局で閲覧請求を行う必要があります。

遺言者の死亡後は、相続人等は以下の手続きを行うことが出来ます。

・遺言書保管事実証明書の交付請求

・遺言書情報証明書の交付及び閲覧請求

遺言書保管所である法務局に遺言書の閲覧請求がされると、遺言書保管官は、相続人、受遺者、遺言執行者等に対して、遺言書を保管している旨通知します。

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

家庭裁判所を経ない払い戻し制度

改正相続法では、各相続人は、遺産に対する預貯金債権について相続開始時の3分の1に法定相続分を掛けた金額について、単独で権利を行使して取得することができるようになりました。ただし、各金融機関毎に上限額が決まっており150万円となっています。払い戻しされた預貯金は、払い戻しをした相続人が一部分割により取得したものとみなされます。

払い戻しを受けるには、預貯金が弁済期にあることが必要であり、期日未到来の定期預金について、直ちに払い戻しを受けることはできないですが、金融機関は期限の利益を放棄することは可能とされています。

施行日前に開始した相続に関し、施行日以降に預貯金債権が行使される場合にも適用されます。

(遺産の分割前における預貯金債権の行使)

<民法909条の2)

各経堂相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の3分の1に第900条及び第901条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生活費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割により取得したものとみなす。

(民法909条の2に規定する法務省令で定める額を定める省令)

民法第909条の2に規定する法務省令で定める額は、150万円とする。

特別寄与制度

改正相続法によって新たに、被相続人に対して、無償で療養看護その他の労務の提供により被相続人の財産の維持、増加について特別の寄与をした相続人でない被相続人の親族は、「特別寄与料」の請求を相続人に対してすることが出来るようになりました。ただし、特別寄与者が相続開始及び相続人を知ったときから6か月、あるいは相続開始から1年での除斥期間があります。ここでいう相続人でない被相続人の親族とは、例えば➀子の配偶者②養子縁組をしていない配偶者の子③代襲相続人でない孫、甥、姪などが想定されています。

<親族>

6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族

<民法1050条>

➀被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第891条の規定に該当し又は廃除によってその相続権w失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄付に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。

②前項の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知ったときから6箇月を経過したとき、又は相続開始の時から1年を経過したときはこの限りではない。

③前項本文の場合には、家庭裁判所は、寄与の時間、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定める。

④特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。

⑤相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に第900条から第902条

までの規定により算定した当該相続人の相続分を乗じた額を負担する。

共同相続相続における権利取得の対抗要件化

改正相続法によって、相続による権利の承継は、遺産分割によるものであるかどうかにかかわらず、相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することが出来ないことになりました。これは、従前の俗に言う相続させる遺言については、法定相続分を超える部分についても登記なくして第三者に対抗できるとした判例を否定したものです。

承継された権利が債権である場合も対抗問題として解決されることになります。相続分を超える当該債権を承継した相続人が当該債権に係る遺言(遺産分割のときは、遺産分割」)の内容を明らかにして債務者にその承継を通知したときは、相続人の全員が通知したものとみなして対抗要件が具備されたものとします。

コスモス成年後見サポートセンターについて

日本行政書士会連合会が、設立した団体(一般社団法人)です。主な事業として、成年後見人の養成・指導、後見人候補者の推薦、成年後見制度の普及活動があります。会員は行政書士です。入会するには、入会前研修を30時間受講する必要があります。また2年毎に更新研修を受けなければなりません。また、会員は成年後見賠償責任保険に加入しており、現在僕が宮崎県支部の支部長をさせて頂いております。

http://www.cosmos-sc.or.jp/

小規模宅地等の特例について

被相続人の主な財産が自宅や事業用資産で、その敷地の相続税評価額が高額である場合は、多額の相続税がかかってしまい、手元資金では相続税を支払いきれず、相続不動産を売却しなければならないことも考えられます。そうなると、遺族の居住の場が無くなったり、事業を継続出来なくなったりしてしまいます。そこで、最小限の居住又は事業の場を確保するために、これらの土地の評価額から一定額を減額して課税計算し、相続税を軽減する特例です。この特例を小規模宅地等の特例といいます。

特例の適用対象となる宅地は、被相続人又は被相続人と生計を一にする親族の事業用、又は居住の用などに供されていた宅地です。生計を一にするとは、家計を共有していることを言いますから、必ずしも同居している必要はありません。別居であっても生活費を負担している親族であれば生計を一にする親族ということになります。なお、この小規模宅地等の特例の適用によって、相続税が無い(基礎控除額内となる)場合でも、相続税の申告書の提出が必要です。

特例が使えるのは、

➀被相続人の配偶者が相続する。

②相続開始前からその宅地に被相続人と同居していた親族がその宅地を相続し、申告期限(被相続人が亡くなってから10か月)まで引き続き所有し、かつ居住し続ける。

③被相続人の配偶者も同居相続人もいない場合で、自分(取得者)の家屋を所有したことのない親族が、相続開始前3年以内に、自分、配偶者、3親等以内の親族又は自分と特別の関係のある一定の法人の所有する家屋に住んだことのない親族が相続し、申告期限まで引き続き所有する。

場合です。

減額される割合は、被相続人の居住の用に供されていた宅地は、330㎡まで80%減額されます。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

遺言の執行

(特定財産に関する遺言の執行)

<民法1014条>

➀前3条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。

②遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が第899条の二第一項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。

③前項の財産が預金債権である場合には、遺言執行者は、同項に規定する行為のほか、その預金又は貯金の払戻しの請求及びその預金又は貯金に係る契約の解除の申入れをすることができる。ただし、解約の申入れについては、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限る。

④前2項の規定にかかわらず、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

遺留分侵害額の算定

遺留分侵害額は、遺留分を算定するための財産の額(民法1043条)に個別的遺留分の割合(民法1042条)を乗じた額から、遺留分権利者が受けた遺贈又は特別受益の額と遺留分権利者が相続によって取得した財産の額の合計額を控除した上、遺留分権利者が承継する相続債務の額を加算して求めます。このときの特別受益は、遺留分額の計算の場合と異なり、相続開始前10年間という制約はありません。

facebookの終活

facebookには、追悼アカウントというものがあります。追悼アカウントは、facebookの利用者が亡くなった後にその友達や家族が集い想い出をシェアする場所とされており、利用者(アカウント所有者)が投稿したものはそのまま残り、シェアしていた相手は引き続きその投稿(コンテンツ)を見ることが出来るそうです。

自らが死亡した場合には、追悼アカウントの管理人を指名して追悼アカウントの管理を任せることが出来ます。追悼アカウントの管理人は、亡くなった方に代わって最後のメッセージを投稿したり、プロフィール写真などを更新することが出来ますが、アカウント自体の相続は想定されていないようで、アカウント自体にログインしたり、亡くなった利用者のメッセージを読むことはできないようです。またアカウントを完全に削除することを選択することも出来ます。当然ながら、どちらもfacebookに利用者の死亡を通知する必要があります。僕もfacebookを利用しておりますが、アカウントの完全削除を選択しています。

遺留分侵害額の請求など

(遺留分侵害額の請求)

<民法1046条>

遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受遺者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。

2 遺留分侵害額は、第1042条の規定による遺留分から第一号及び第二号に掲げる額を控除し、これに第三号に掲げる額を加算して算定する。

一 遺留分権利者が受けた遺贈又は第903条第一項に規定する贈与の価額

二 第900条から第902条まで、第903条及び第904条の規定により算出した相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額

三 被相続人が相続開始のときにおいて有した債務のうち、第899条の規定により遺留分権利者が承継する債務(次条第三項において「遺留分権利者承継債務」という。)の額

(受遺者又は受贈者の負担額)

<民法1047条>

受遺者又は受贈者は、次の各号の定めるところに従い、遺贈(特定財産承継遺言による財産の承継又は相続分の指定による遺産の取得を含む。以下この章において同じ。)又は贈与(遺留分を算定するための財産の価額に算入される者に限る。以下この章において同じ。)の目的の価額(受遺者又は受贈者が相続人である場合にあっては、当該価額から第1042条の規定による遺留分として当該相続人が受けるべき額を控除した額)を限度として、遺留分侵害額を負担する。

一 受遺者と受贈者とがあるときは、受贈者が先に負担する。

二 受遺者が複数あるとき、又は受贈者が複数ある場合においてその贈与が同時にされたものであるときは、受遺者又は受贈者がその目的の価額の割合に応じて負担する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

三 受贈者が複数あるとき(前号に規定する場合を除く。)は、後の贈与に係る受贈者から順次前の贈与に係る受贈者が負担する。 

2 第904条、第1043条第二項及び第1045条の規定は、前項に規定する遺贈又は贈与の目的の価額んついて準用する。

3 前条第一項の請求を受けた受贈者又は受贈者は、遺留分権利者承継債務について弁済その他の債務を消滅させる行為をしたときは、消滅した債務の限度において、遺留分権利者に対する意思表示によって第一項の規定により負担する債務を消滅させることができる。この場合において、当該行為によって遺留分権利者に対して取得した求償権は、消滅した当該債務の額の限度において消滅する。

4 受遺者又は受贈者の無資力によって生じた損失は、遺留分権利者の負担に帰する。

5 裁判所は、受遺者又は受贈者の請求により、第一項の規定により負担する債務の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。

遺留分の算定方法

改正相続法では、遺留分算定基礎財産の計算方法について旧法より明確になりました。まず、相続人に対する贈与は、相続開始前の10年間にされたもの(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る)を遺留分算定基礎財産に算入することが明記されました。次に、負担付贈与について、贈与の目的の価額から負担の価額を控除した額を遺留分算定基礎財産に参入することとされ、不相当な対価による有償行為は、「当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知ってしたもの」に限定して、当該対価を負担価額とする負担付贈与とみなすこととされました。

(遺留分を算定するための財産の価額)

<民法1043条>

➀遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とする。

②条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。

<民法1044条>

贈与は、相続開始前一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。

2 第904条の規定は、前項に規定する贈与の価額について準用する。

3 相続人に対する贈与についての第一項の規定の適用については、同項中の「一年」とあるのは「十年」と、価額とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。)」とする。

<民法1045条>

負担付贈与がされた場合における第1043条第一項に規定する贈与した財産の価額は、その目的の価額から負担の価額を控除した額とする。

2 不相当な対価をもってした有償行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限り、当該対価を負担の価額とする負担付贈与とみなす。

自筆証書遺言の保管制度

令和2年7月10日より法務局で自筆証書遺言の保管制度が始まります。自筆証書遺言の保管申請は、遺言者自らが法務局(遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言者の所有する不動産の所在地を管轄する法務局)に出向き行う必要があります。自筆証書遺言は画像データで管理されるため、無封でなければなりません。また自筆証書遺言の保管申請は、保管申請する自筆証書遺言とともに、作成年月日、遺言者の氏名、生年月日、住所及び本籍(外国人であれば国籍)、遺言書に受遺者や遺言執行者の記載があるときは、その人達の氏名又は名称及び住所などを記載した申請書を提出して行います。その際に、遺言書保管官によって、遺言者の本人確認が行われます。自筆証書遺言が保管されれば、遺言者は、いつでも自分の書いた自筆証書遺言書の閲覧請求ができますが、閲覧請求に関しても、遺言者自らが法務局に出向き申請する必要があります。遺言者の死亡後は、関係相続人などが、遺言者の有無について調査することができ、遺言書情報証明書の交付及び当該遺言書の閲覧請求ができるとされています。公正証書遺言であれば、公正役場で原本を保管されます。また、平成元年度以降のものであれば、遺言者が亡くなった以降は、遺言検索システムによって、遺言の存否の確認ができます。

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

遺言執行者の復任権

改正前の民法では、遺言者が遺言に反対の意思表示をした場合、やむを得ない事由がある場合を除いては、第三者に任務を行わせることはできないとされていましたが、改正後の民法では、やむを得ない事由がなくとも、復代理人を選任することは可能となりました。

(遺言執行者の復任権)

<民法1016条>

遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

2 前項本文の場合において、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。

遺言執行者について

遺言執行者とは、簡単に言うと、遺言を実現してくれる人です。せっかく遺言があるのに、その遺言は実現しないと意味がありません。その遺言を実現する人が遺言執行者です。遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生じます。

(遺言執行者の権利義務)

<民法1012条>

遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

2 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。

3 第644条、第645条から第647条まで及び第650条の規定は、遺言執行者について準用する。

また、遺言執行者が就任し、任務を開始するときは、相続人に対し、遅滞なく遺言内容を通知しなければなりません。これは、遺留分を有しない相続人(被相続人の兄弟姉妹が相続人になる場合など)にも通知する義務があるとされていますが、受遺者は通知義務の対象には含まれていません。もともと民法1011条で、相続人に対して、遅滞なく、財産目録を作成し交付する義務があることから、実務上は、就任したら、遅滞なく、遺言の内容と財産目録を相続人に通知・交付します。弊所では、遺言の内容の通知は、遺言書のコピーを送付する形をとっています。

(遺言執行者の任務の開始)

<民法1007条>

遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。

2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。

(相続財産の目録の作成)

<民法1011条>

遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。

2遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。

自筆証書遺言の方式緩和

従来は、すべて自書が要件だった自筆証書遺言ですが、自筆証書遺言に添付する財産目録については、自書は不要となりました。ただし、添付する財産目録の各ページには、遺言者の署名捺印が必要です。

(自筆証書遺言)

<民法968条>

自筆証書によって遺言するには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第917条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。

3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者がその場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれを署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

配偶者保護のための方策

婚姻期間が20年以上の夫婦の片方の配偶者がもう片方の配偶者に対して居住用不動産を遺贈・贈与した場合は、民法903条3項の持戻しの免除の意思表示があったものと推定されます。遺産分割においては、原則当該居住用不動産の持戻し計算は不要となります。持戻し免除の意思表示推定の要件は下記の通りです。

➀夫婦の一方配偶者である被相続人が、他方配偶者に対して遺贈又は贈与をしたこと

②当該夫婦の婚姻期間が20年以上であること

③遺贈又は贈与の対象が、居住用不動産を目的としたものであること

(特別受益者の相続分)

<民法903条>

共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

2 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。

3 被相続人が前2項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従う。

4 婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第1項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。

配偶者短期居住権の消滅

配偶者短期居住権は、下記の場合に消滅します。

➀配偶者が居住建物に係る配偶者居住権を取得した場合

(民法1039条)

<配偶者居住権の取得による配偶者短期居住権の消滅>

配偶者が居住建物に係る配偶者居住権を取得したときは、配偶者短期居住権は、消滅する。

②配偶者短期居住権を認められた配偶者の死亡

③配偶者居住権の認められた居住建物の全部滅失、その他の理由による使用収益の不能

④居住建物の用法遵守義務・善管注意義務の違反

(民法1038条)

<配偶者者による使用>

配偶者(配偶者短期居住権を有する配偶者に限る。以下この節において同じ。)は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用をしなければならない。

2 配偶者は、居住建物取得者の承諾を得なければ、第三者に居住建物の使用をさせることができない。

3 配偶者が前二項の規定に違反したときは、居住建物取得者は、当該配偶者に対する遺志表示によって配偶者短期居住権を消滅させることができる。

遺産分割の対象とならないもの  1

預貯金債権は、平成28年の最高裁判例により、遺産分割の対象となりました。その他の貸金債権や損害賠償請求権などは、相続によって法定相続分に応じて当然に分割されるため、遺産分割協議の対象財産ではありません。ただし実務上は、相続人全員の合意によって、遺産分割の対象とすることは出来るとされています。

金銭債務は、相続により各相続人へ法定相続分に応じて当然に承継されるため遺産分割の対象にはなりません。相続人間で合意して、債務承継者を決めることは可能ですが、債権者の同意・承諾がないと対抗できません。ただし、その債務を代位弁済した相続人は、債務承継者に求償することはできるとされています。

遺産分割の対象とならないもの 2

葬儀費用は、被相続人が死亡後に喪主が行うものとされておりますので、葬儀費用は遺産分割の対象とならないとされていますが、実務上は、共同相続人全員の合意によって、相続に係る諸経費として遺産分割の対象とすることはあります。

祭祀財産は、相続財産とされていません。ただし、遺産分割協議の中で、共同相続人全員の合意により祭祀承継者を決めることもあります。

特別の寄与(新民法第1050条)

旧民法では、寄与分は、相続人だけに認められた制度でした。しかし現実的には、被相続人の長男のお嫁さんが被相続人の療養看護を一番しているケースは良くあります。そこで、新民法では被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした相続人の親族は、相続開始後、相続人に対し、寄与分に応じた金銭の請求が出来るようになりました。この金銭の請求は、特別の寄与をしたもの(特別寄与者)が相続の開始を知ったときから6か月を経過するまで、又は相続の開始から1年を経過するまでに請求しなければならないとされています。

配偶者居住権の取得要件

配偶者居住権は2020年4月1日以降に発生した相続について適用があります。2020年3月31日以前に発生した相続には適用がありませんので、ご注意ください。

ではその配偶者居住権の取得要件は、下記の通りです。

➀被相続人の財産に属した建物に、被相続人の配偶者が、相続開始時に居住していたこと。

②居住建物につき、相続開始時に配偶者以外の者と共有していないこと。

③以下のいずれかに該当すること

A、遺産分割で配偶者居住権を取得するとされた場合

B、配偶者居住権が遺贈の目的とされた場合rう

C、配偶者に配偶者居住権を取得させる旨の死因贈与がある場合

また、遺産分割請求を受けた家庭裁判所の審判によっても、配偶者居住権が認められます。

(配偶者居住権)

<民法1028条>

被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号にいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益する権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人の相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りではない。

一 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。

二 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。

2 居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。

3 第903条第4項の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用する。

配偶者居住権の存続期間

配偶者居住権の存続期間は、原則生存配偶者が亡くなるまでです。(生存配偶者の終身)例外として、遺産分割協議や、遺言、家庭裁判所が遺産分割審判で別段の定めをした場合は、その当該定めの期間とされています。

(配偶者居住権の存続期間)

<民法1030条>

配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とする、ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによる。

配偶者居住権の設定登記など

生存配偶者が、配偶者居住権を取得した場合は、当該居住建物所有者は、配偶者に対して、配偶者居住権設定登記を備えさせる義務があります。つまり、配偶者は、居住建物所有者に対して、配偶者居住権設定登記の登記請求権が認められます。配偶者居住権の設定登記により、第三者に対する対抗力を持ちます。

また、居住建物の占有が妨害されている場合は、配偶者は妨害停止請求が可能です。また第三者が居住建物を占有している場合は、配偶者は居住建物の返還請求が可能とされています。

(配偶者居住権の登記等)

<民法1031条>

居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。

2 第605条の規定は配偶者居住権について、第605条の四の規定は配偶者居住権の設定の登記を備えた場合について準用する。

配偶者居住権を取得した配偶者の義務など

配偶者居住権を取得した配偶者は、従前の用法に従い、善管注意義務をもって、居住建物を使用収益する義務を負います。万一、義務違反があった場合は、配偶者への遺志表示により、配偶者居住権を消滅させることが出来ます。

また、配偶者居住権は譲渡することは出来ません。配偶者は、居住建物の使用及び収益に必要な修繕は可能ですが、居住建物を改築、増築、第三者の使用収益がある場合は、居住建物所有者の承諾を得ることが必要です。

(配偶者による使用及び収益)

<民法1032条>

配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用及び収益をしなければならない。ただし、従前居住の用に供していなかった部分について、これを居住の用に供することを妨げない。

2 配偶者居住権は、譲渡することが出来ない。

3 配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築し、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益させることができない。

4 配偶者が第一項又は前項の規定に違反した場合において、居住建物の所有者が相当の期間を定めてその是正の催告をし、その期間内に是正がされないときは、居住建物の所有者は、当該配偶者に対する遺志表示によって配偶者居住権を消滅させることができる。

(居住建物の修繕等)

<民法1033条>

配偶者は、居住建物の使用及び収益に必要な修繕をすることができる。

2 居住建物の修繕が必要である場合において、配偶者が相当の期間内に必要な修繕をしないときは、居住建物の所有者は、その修繕をすることができる。

3 居住建物が修繕を要するとき(第一項の規定により配偶者が自らその修繕をするときを除く。)又は居住建物について権利を主張するものがあるときは、配偶者は、居住建物の所有者に対し、、遅滞なくその旨を通知しなければならない。ただし、居住建物の所有者が既にこれを知っているときは、この限りではない。

戸籍の改製(昭和32年法務省令第27号)

戦後昭和22年5月3日に新憲法が施行され、翌昭和23年1月1日に新しい民法が施行され、戸籍法も改正されました。

それにより従来の「家」単位だった戸籍を、「一の夫婦とこれと氏を同じくする未婚の子」の単位に変更されました。古い戸籍では、戸主の子の配偶者や、孫なども入っていました。

昭和23年の新しい戸籍法では、家族制度の廃止によって、戸籍の俗称欄は廃止されましたが、新法施行から10年間は、家を単位として編成された旧法基準の戸籍であっても、そのままこれを新しい戸籍とみなし、すぐに戸籍を作り替えなくても良いこととしました。戦後の混乱期の中で、大変な作業ですからね!ただし、婚姻など新しい身分行為が生じたときは、その都度、新法基準で新しい戸籍が作られました。

10年が経過すると、いよいよ新法基準での戸籍の改製作業が始まりました。ただし、この時点で夫婦と子供しか残っていないなど新法基準に合致している戸籍は、その戸籍に「昭和32年法務省令第27号により昭和○○年○○月○○日本戸籍改製」などと記載して、そのまま新しい戸籍とみなして継続使用しました。しかし、このままでは古い大正4年式戸籍と現行戸籍とのが混在し、支障が生じる為、改製と記載しただけで新戸籍とみなしていた大正4年式戸籍が、現行戸籍に作り直されました。この改製によって改製された戸籍には、昭和32年法務省令第27号により昭和○○年○○月○○日新たに戸籍を改製したため本戸籍消除」と記載されています。この改製作業は、昭和41年3月には事実上終了したと言われています。

配偶者居住権の居住建物の費用負担

配偶者居住権を取得した配偶者は、居住建物の固定資産税等の通常の必要費を負担しなければなりません。それ以外の特別の費用や有益費は居住建物の所有者が負担するとされています。

(居住建物の費用の負担)

<民法1034条>

配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する。

2 第583条第二項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する。

配偶者短期居住権

配偶者短期居住権は、使用貸借類似の法定債権として扱われます。配偶者短期居住権の取得要件は、被相続人の配偶者が、相続開始時に、居住建物の配偶者居住権を取得しておらず、相続欠格や相続排除によって相続権を失っていない場合に、被相続人の居住建物に相続開始時に無償で居住していた場合です。

また配偶者短期居住権の存続期間は、遺産分割によって居住建物の帰属が確定した日又は相続開始時から6か月経過する日のいずれか一方の遅い日までの期間、居住建物の取得者から配偶者短期居住権の消滅の申入れ日から6か月を経過する日までの期間とされています。

(配偶者短期居住権)

<民法1037条>

配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の所有権を相続又は遺贈により取得した者(以下この節において「居住建物取得者」という。)に対し、居住建物について無償で使用する権利(居住建物の一部のみを無償で使用していた場合にあっては、その部分について無償で使用する権利。以下この節において「配偶者短期居住権」という。)を有する。ただし、配偶者が、相続開始の時において居住建物に係る配偶者居住権を取得したとき、又は第891条の規定に該当し若しくは排除によってその相続権を失ったときは、この限りではない。

一 居住建物について配偶者を含む共同相続相続人間で遺産の分割をすべき場合 遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から6か月を経過する日のいずれか遅い日

二 前号に掲げる場合以外の場合 第三項の申入れの日から6か月を経過する日

2 前号本文の場合においては、居住建物取得者は、第三者に対する居住建物の譲渡その他の方法により配偶者の居住建物の使用を妨げてはならない。

3 居住建物取得者は、第一項第一号に掲げる場合を除くほか、いつでも配偶者短期居住権の消滅を申入れをすることができる。

遺留分とは   1

遺留分とは、簡単に言えば亡くなった人の配偶者(奥さんや旦那さん)・直系尊属・子供にだけ認められている最低限の遺産保障です。

有名な例としては、「○○に全財産を譲るとした遺言」がどうなるのか?という問題です。

この例の場合亡くなった方(被相続人)に奥様だけがいらしゃった場合、全財産の4分の1は遺留分として、奥様に財産を受け取る権利があるということです。

全財産が4000万円だと仮定しましょう。

この場合4000万円の4分の1、1000万円は奥様に遺留分として認められています。

よって、○○に3000万円、奥様に1000万円という分配になります。

遺留分の割合については、法定相続分の半分だと覚えていただくと良いかと思います。厳密には、相続人が尊属だけの場合(遺言者の父、母だけの場合)は、半分より少なく、法定相続分の3分の1と決められています。

遺留分とは 2

ご存知の方も多いかもしれませんが、この遺留分は、被相続人(遺言を書かれる人)の配偶者・子供・直系尊属(遺言書を書かれる人の父・母)だけに認められています。法定相続人としてほかに兄弟姉妹がありますが、この兄弟姉妹には遺留分はありません。

そして、この遺留分には時効があるのをご存知ですか?

遺留分には、相続があったことを知った時から1年、相続開始から10年経てば、時効にかかり権利は消滅します。よく聞くケースですが、旦那さまが亡くなられて1年経てば、「○○に全部譲る」の遺言に対抗できなくなるのです。ゆえに、遺留分の請求(遺留分減殺請求)はお早目になされることが大切です。一般的には内容証明郵便により、相手方に請求するのが一般的なやり方です。内容証明郵便は相手・自分・郵便局と同じものを各1通保管する非常に証拠能力の高いものです。

遺留分とは 3

自身に相続があった事を知った時から1年、相続開始から10年経てば、遺留分減殺請求権は時効にかかり消滅します。

今回は、遺留分算定の基礎となる財産についてです。今回も旦那さまが「遺産全部を○○に譲る」といった遺言があったケースです。2回にわたって、遺留分についてお話させて頂いたで、奥様にも遺留分として、遺産総額の4分の1分は権利があるのはお分かりだと思います。ではもし、旦那さまが亡くなる前に○○に渡していた財産についてはどうなるのでしょうか?賢い旦那さまなら遺産自体は少なくし、事前に多く渡しているかもしれません。そうなると、遺留分を請求してもほんの僅かしか請求できなかった。こんなケースもよく聞きますが、ご安心ください。

遺留分算定には、相続開始時に持っていた財産+贈与した財産も含まれるのです。この贈与した財産の中には、相続開始前の1年間に行った贈与・遺留分権利者に損害を加えることを知って行われた贈与・遺留分権利者に損害を加えることを知って行われた売却(3000万円の家を100万円で売った場合など)も含まれます。これにもし、負債(債務)があれば、ひいた金額が遺留分算定の基礎となる財産です。その額の法定相続分の半分が遺留分として認められているのです。(相続人が直系尊属だけの場合は3分の1)

※遺留分減殺請求権は民法改正により、遺留分侵害額請求権と名称が変わりました。また、遺留分侵害額請求権は金銭債権と明文化されました。

遺留分侵害額請求権の算定の基礎となる遺留分は、相続開始時の相続財産及び相続開始前1年間になされた相続人以外の者に対する贈与の価額及び相続開始前10年間になされた相続人に対する特別受益に該当する贈与の価額を合計し、そこから相続債務の額を控除して算出します。

遺留分の放棄

遺留分は必ずしも請求しなければいけないものではありません。遺留分は権利なので、それを行使するか否かはあなた次第なのです。そして遺留分は、相続開始前に放棄することが出来ます。これに対し、相続放棄は事前には出来ません。

では遺留分の放棄はどの様な手続きをとるのでしょうか?

相続開始前に遺留分の放棄をするには、家庭裁判所の許可が必要です。また、家庭裁判所には遺留分放棄の許可基準もあります。

  • 遺留分を放棄する本人の自由意思に基づくものであること
  • 遺留分を放棄する理由に合理性(必要性・整合性)があること
  • 代償性があること(遺留分の放棄と引き換えに贈与などがあること)

相続は大きな出来事なので、裁判所もその本人意思をしっかり確認するということでしょうか。

遺留分放棄の申し立て先は、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所で、推定相続人が申し立てます。遺留分放棄許可の申し立てに必要な書類は以下の通りです。

  • 遺留分放棄許可の申立書
  • 申立人の戸籍謄本
  • 被相続人の戸籍謄本
  • 財産目録

遺留分放棄許可の申立書には、合理的な理由を書く必要があります。また遺留分放棄の代償として、贈与が確実に行なわれるとは言えない場合には、認められないこともありますので注意してください。

遺産分割協議書の作成

被相続人が亡くなり遺言がない場合、相続人が複数いる場合は遺産分割協議を行う必要があります。その合意内容をまとめたものが、遺産分割協議書です。遺産分割協議書は法律によって義務づけられているわけではありませんが、相続手続きにおいて提出を求められることが多く、作成しなければならないのが現実です。法律で定められているわけではないので、遺産分割協議書には決まった形式があるわけではありません。自筆証書遺言の様に、手書きでなければいけないなどの決まりもありません。遺産分割協議書であることが客観的にわかり、誰がどの遺産を相続するのか正確に記載されており、すべての相続人の署名・押印があれば有効とされています。ここでの押印は実印で行なう必要があります。相続登記の手続きなどで必要となる遺産分割協議書には、各相続人の実印での押印、各相続人の印鑑証明書の提出が求められるからです。

しかし、この遺産分割協議書の作成は困難な場合が多いのが実状です。相続人全員の同意はなかなか困難だからです。もし、この遺産分割協議がまとまらない場合は調停を申し立てる必要があります。この調停については別の機会でお話しさせていただきます。遺言があればこの遺産分割協議を省略することが出来ます。ご遺族が相続トラブルに巻き込まれない様に、遺言書の作成は私たちの責任でもあるのです。

 

相続人が行方不明の場合

相続人の中には、長年所在が不明で連絡先も分からない場合もあると思います。実は私の親族にも似たようなケースがありました(7年以上行方不明でしたので、失踪宣告の申し立てを行ないました)このような所在不明者が、親族や弁護士などを財産管理人としておいており、その財産管理人が遺産分割協議を行う権限を与えられている場合は、その財産管理人が相続人の変わりに遺産分割協議に参加出来ます。しかし、連絡先も分からないようになってる人が、ここまでしっかり準備するケースはまれでしょう。多くの場合(財産管理人がいない場合)は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任の申し立てを行ないます。申し立ては、不在者の従来の住所地を管轄する家庭裁判所です。ここで重要なのは、不在者財産管理人の選任だけでは、意味がありません。家庭裁判所にこの不在者財産管理人に不在者に代わって遺産分割を行う権限を与えてもらう必要があります。

以下に不在者財産管理人の選任の申し立てに必要な書類を明記しておきますので、ご参考になさってください。

・不在者財産管理人選任の申立書

・申立人、所在不明者の戸籍謄本

・財産管理人候補者の住民票または戸籍附票

・不在の事実を証する資料(不在者の戸籍附票謄本など)

・利害関係を証する資料

・財産目録、不動産登記事項証明書

 

相続放棄

よく昔のドラマなんかで父親の残した借金のせいで、人生がめちゃくちゃになったなんて話がありますが、父親の残した借金は放棄する事が出来ます。そのドラマは放棄出来ない特別な理由があったのかもしれませんが。しかしこの相続放棄いつでも可能ってわけではありません。自分が相続人となったことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所に相続放棄の意思を申述しなければなりません。実際には、相続放棄申述書を、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出する必要があります。

また相続人の中に未成年者や成年被後見人がおり、相続放棄の必要がある場合には、法定代理人が代理して申述します。しかし、法定代理人も相続人である場合には、利害が対立する関係であることから、特別代理人を選任する必要があります。この特別代理人の選任方法については別の機会にお話しさせていただきます。以下に相続放棄に必要な書類を明記しておきますので、ご参考になさってください。

・相続放棄申述書

・申述人・法定代理人等の戸籍謄本

・被相続人の戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍謄本、住民票除票または戸籍附票

 

相続人の確定

相続手続きを行なう場合において、必ず必要となるのは相続人の確定です。では実際に相続人の確定はどのように行なうのでしょうか?相続人を確定するためには、被相続人が生まれてから死亡するまでの連続した戸籍が必要となります。連続した戸籍?と思われる方がほとんどだと思われます。ここでいう戸籍とは、戸籍謄本(こちらは取得された方も多いと思います)、除籍謄本、改正原戸籍謄本などを指します。戸籍謄本はご存知の方も多いと思います。戸籍内全員の記録を複写した書面です。では、除籍謄本とはどのようなモノでしょうか?除籍謄本とは戸籍内にいたすべての者が婚姻や死亡などによっていなくなった戸籍謄本の事です。そして、改正原戸籍謄本とは、戸籍制度の改正によって戸籍のスタイルが変更される前の戸籍謄本の事です。この戸籍制度の改正、近年では昭和32年、平成6年に行われています。この改正の際には、すでに除籍されている人の情報は転記されないのです。よって、被相続人の最も新しい戸籍謄本には、被相続人のすべての情報が記載されているわけではないのです。戸籍謄本には記載されていない情報が、除籍謄本や改正原戸籍謄本に記載されていることがよくあります。つまり、相続人を確定するためには、戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍謄本の3種類の謄本がすべて必要になるのです。

 

リバースモーゲージ

リバースモーゲージとは、マイホームが唯一の財産のケースが多い日本の高齢化社会にマッチしているとして、最近注目されている制度です。高齢者が自宅を担保にし、老後の生活資金を借り入れ、自分たちが亡くなった場合は、その自宅を処分して精算する方法です。最後まで住み慣れた自宅で生活出来、居住用財産は居住の場として使いながら、同時にその資産価値を現金に転換して、生活資金に充てることが出来るのが大きなメリットです。ここ日本ではまだ定着していませんが、個人の資産価値の社会化を促進する手法として今後定着すると予想されています。

また長期生活支援資金貸付制度などの公的なリバースモーゲージもあります。対象は、自宅不動産を持っているが収入が少なく、生活が困難な65歳以上の高齢者世帯です。限度額も決まっています。土地の評価額の7割程度、1ヶ月あたり30万円以内です。貸付期間は、貸付限度額に達するか、借受人の死亡時までとなっています。

固定資産税

固定資産税とは毎年1月1日現在、「固定資産」を所有している人(「固定資産課税台帳」に1月1日現在所有者として登録されている人)、に課税される市町村が課税する地方税です。

固定資産税の課税基準は、原則として固定資産税評価額が用いられます。固定資産評価額は公示価格の70%程度とされています。また3年毎に評価替えが行われます。

そして固定資産税には軽減される特例があります。住宅用地の場合は、自己用住宅でも貸家用でも一定の要件を満たした場合に軽減の特例があります。

よくあるケースとして、うわものの建物を取り壊した場合に土地の固定資産税が3~4倍になるケースです。

市町村役場の税務課で試算してくれます(納税通知番号が必要です)ので、建物の取り壊す際には、固定資産税についても注意される事が必要です。

 

贈与税

民法では、「贈与とは、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思表示をし、相手方がこれを受諾することによって成立する契約をいう」と規定しています。つまり贈与は相続と違い、お互いの合意が必要だということです。またこれもよくあるご質問ですが、贈与はすでに履行された部分(もの)に関しては、取り消すことが出来ないということです。例えば、友人にあの自転車あげるよと言って、実際に友人に自転車を引き渡した場合、気が変わったといっても、その自転車を無償で取り返すことは困難です。(友人が僕の様にいい人なら話は別ですが)また、このように口頭での贈与は、実際に履行したモノは取り消し不可能ですが、書面での贈与契約は履行されていない部分についても、取り消すことは出来ません。では、話の本題に入りたいと思います。贈与税は暦年(その年の1月1日から12月31日)をひとつの単位として、その間に取得した贈与財産の価額が基礎控除額(110万円)を超えた場合、その超えた部分に対して、贈与税が課税されます。例えば、母親から140万円ほど贈与してもらった場合、140万円-110万円=30万円に対して、課税される仕組みになっています。また贈与税には特例もあります。主なものに、「贈与税の配偶者控除」「相続時精算課税制度」があります。まず、贈与税の配偶者控除についてお話しさせていただきます。これは配偶者から、居住用の家屋とその敷地などや、居住用不動産の購入資金の贈与を受けた場合は、2000万円の配偶者控除の適用を受けることが出来ます。これは、先ほどお話させて頂いた基礎控除額(110万円)とは別枠で適用を受けることが出来ます。つまりこの特例の適用をうけた場合、合計2110万円まで非課税扱いだということです。大きな非課税枠ですよね。さすがに誰でもというわけではなく、要件も定められています。

要件

・婚姻期間が20年以上であること

・贈与財産が居住用不動産、または居住用不動産を購入するための資金であること

・贈与の年の翌年3月15日までにその居住用不動産に居住し、かつその後も引き続き居住する見込みであること

・過去に同じ配偶者からこの特例を受けてないこと

 

相続時精算課税制度

この制度は比較的新しく今から約10年前、平成15年に創設されました。背景には、高齢化に伴う相続時期の遅れや親から子への早期の財産移転の促進などがあげられます。要するに、お金を持ってる世代からはきだしてもらって、お金の流れをよくしようという事だと思います。この相続時精算課税制度は父と母それぞれから2500万円までの生前贈与が非課税になるという制度です。要件を満たす親子間では、2500万円まで(複数年に渡る場合は、合計額が2500万に達するまで)の贈与は非課税になります。要件は以下の通りです。

・贈与者は60歳以上の父母又は祖父母

・受贈者は20歳以上の子又は孫

金額・回数・財産の種類に制限はなく累計2500万円までは非課税に、超えた部分に対しては一律20%の税金が課せられます。

また「相続時精算課税制度」という名前からもわかるように、この制度を選択して贈与をうけた場合、贈与者の相続発生時にはその贈与財産を相続財産に加えて相続税を計算し、贈与時に支払った贈与税があれば相続税の額から控除して計算する事になります。そして、この「相続時精算課税制度」は適用をうける場合は必ず、最初の贈与を受けた翌年2月1日から3月15日までの間に贈与税の申告書を提出する必要があります。これは仮に適用をうけて非課税枠内であっても、提出する必要があります。また相続時精算課税制度は、相続時精算課税選択届出書も同時に提出します。(提出先はお近くの税務署まで)

この制度は意外とよく利用されていますので、ご検討されてはいかがでしょうか。

 

遺産分割とは

遺産分割とは読んで字のごとく遺産を分割することですが、実際どの様に行われるのでしょうか。

相続人が複数いれば、相続財産は相続人全員のもの(相続人全員の共有財産)であり、どの財産が誰のものであるかは決まっていません。よって、財産を実際に「誰に何を移転させるか」を複数の相続人において手続きをしなければなりません。これが遺産分割で、「指定分割」と「協議分割」があります。

「指定分割」とは俗にいう遺言がある場合です。遺言がある場合に被相続人が、遺産の全部または一部について分割方法を指定したり、相続人以外の第3者に分割方法を指定するように、委託することも出来ます。

「協議分割」とは、共同相続人全員で協議して、全員の合意のもとに分割内容を決定することをいいます。この決定内容を書面化したものが、遺産分割協議書です。協議分割は全員の合意が必要ですから1人でも欠けると成立しません。ただし、全員の合意により協議が成立すると指定分割で指定した方法以外(遺言で指定した方法)以外の分割内容を自由に決めることが出来ます。遺産分割は大きくわけて「指定分割」と「協議分割」に分けることが出来ますが、協議分割が不調に終わった場合は「調停分割」さらに「審判分割」へと移行することになります。「調停分割」は協議分割がまとまらない場合、家庭裁判所に調停を申し立てることにより始まります。調停委員が間に入って、当事者同士の合意を目指すものです。しかし、ここでも合意に至らない場合は「審判分割」です。家庭裁判所が職権により分割内容を決定します。この審判分割が最近全国的に増えてきています。全員の合意がやはりネックなのだと思います。2人や3人でも合意するのは困難なのに、更に多くの相続人がいたとしたら。。。神業的な方法でもないと全員の同意は難しいのは当たり前です。だからこそ、遺言書の作成をお勧め致します。あなたがしっかりと指定してあげることが必要なのです。遺言は私たちの責任でもあるのです。

 

寄与分

寄与分とは簡単に言うと、共同相続人の中で被相続人の財産形成やその維持に対して特別に寄与・貢献した者がいる場合には、その貢献分を相続分に反映させようじゃないかということです。しかし、ここで重要なのが「特別に」というところです。通常の家事や介護、看護などでは寄与分は認められません。よってあまり寄与分は認められていないのが実状です。介護などの大変さを考えると、どうなのかなと思うところもありますが、社会の実状に併せて変化して欲しいものだと考えます。また寄与分は共同相続人のみに認められています。つまり、内縁の妻がいくら財産形成に関与したとしても、寄与分は認められません。こういったケースにも、遺言書は活躍します。ただし、遺留分には注意する必要がありますので、お気をつけ下さい。

 

特別受益

寄与分も特別受益も、共同相続人が被相続人の財産をなるべく公平に相続、分配出来るように考えられた制度です。実質的に公平な相続の為の相続分調整制度といったところでしょうか。そこで、婚姻、養子縁組の為もしくは生計の資本としてなされた生前贈与や遺贈を特別受益、特別受益を受けた相続人を特別受益者としています。そして、この特別受益者の相続できる額を特別受益の額だけ減らして、公平に調整しようという制度です。例えば、被相続人が生存中に長男に事業資金として、500万円援助したケースで考えてみましょう。相続人は配偶者、長男(500万円の贈与を受けている)、次男の3人とします。相続財産は2000万円だったと仮定しましょう。遺言もなく法定相続通りに分配するとします。法定相続分通りだと、配偶者に1000万円、長男・次男にそれぞれ500万円ずつですが、これでは次男は納得しません。「兄貴ばっかりいい思いして。。。」となりますよね。そこでこの特別受益の制度の登場です。まず相続財産の2000万円に長男が事業資金として援助してもらった500万円を加えます。2000万円+500万円=2500万円。この2500万円をみなし相続財産として、先ほどと同じように法定相続通りに分配します。すると配偶者には2500万円の半分1250万円、長男・次男にはそれぞれ625万円づつになります。そして、そこから特別受益者(長男)の特別受益分を差し引くのです。625万円ー500万円=125万円。すると最終的には配偶者1250万円、長男125万円、次男625万円、合計2000万円となります。これで次男も納得ですよね。

しかし、故人の意思は尊重されます(当然の事ですが)ので、被相続人が贈与や遺贈を特別受益として扱わないように意思表示をしていた場合は、その意思が尊重され特別受益とみなされません。

 

死亡届けの提出

相続手続きは大きく分けて2種類に分類されます。1つは事務的手続き、もう1つは相続財産の処理手続きです。事務的手続きとは、

  • 市区町村役場への死亡届けの提出
  • 健康保険の保険証の返還
  • 公的年金への死亡届けの提出
  • 所得税の準確定申告
  • 生命保険金の請求

などがあげられます。まず最初の死亡届けの提出ですが、提出先は死亡した人の本籍地か死亡地、または届け人の住民票が置いてある住所ですのどれかの市区町村役場です。

死亡届けの用紙は、市区町村役場や病院に置かれています。提出の際は、この死亡届けと共に、医師に記入してもらった死亡診断書を添付しなければなりません。実務上は、葬儀社さんが行われる場合が多いと思います。

この死亡届けの提出により、死体埋火葬許可証が交付されます。

死亡届けの提出により、故人の戸籍は自動的に除籍処理され、住民票には死亡事項が記載され、印鑑登録は自動的に廃止されます。(印鑑登録手帳、印鑑登録カードは市区町村役場に返還する必要があります。)

また故人が世帯主であった場合は、世帯主変更届けの提出が必要になります。

相続人である子供が亡くなっていた場合(代襲相続)

本来の相続人であるお子様が先に亡くなっていた場合、この様なケースを代襲相続と言います。医療技術の進歩により、平均寿命は伸びています。これにより、代襲相続の問題が増えてくると予想されています。お子様がご自身より先に亡くなっていた場合、そのお子様に子供(ご自身から見れば孫)がいれば、そのお孫さんが相続人になります。相続分は本来のお子様の相続分と同じです。よって、代襲相続に当たるお孫さんが2人いた場合、本来のお子様の相続分をお孫さん2人で分ける事になります。万が一そのお孫さんも亡くなっていた場合、そのお孫さんにお子様(ご自身から見ればひ孫)がいれば、そのひ孫が相続人なります。これを再代襲相続と言います。兄弟姉妹が亡くなっていた場合にも、代襲相続は認められていますが、この再代襲相続は直系のみとなっています。

 

自筆証書遺言

民法では、普通形式遺言として以下の3つが認められています。

・自筆証書遺言

・公正証書遺言

・秘密証書遺言

今回は、1番お手軽な自筆証書遺言についてお話しさせていただきます。

自筆証書遺言はお手軽ですが、いくつかの要件あり、これを欠くと遺言は無効になります。

要件①全部を自筆で書く。

  全部自筆と定められていますので、ワードやワープロなどは使用出来ません。カーボン複写は有効とされています。テープやCD、DVDなどの記録媒体を使った音声や映像は法的効力を持ちません。よく問題になるのは、病気などの理由により字をうまく書けず、添え手をしてもらった場合です。判例では、「添え手によって他人の意思が介入しない場合は、遺言として認められる」としており、無効になるケースも十二分にあります。ゆえに、遺言書はお元気なうちに、書いておくのが良いと考えます。しかし、もう遅いよって方は公正証書遺言を利用しましょう。公証人が代わりに署名をしてくれます。

要件②日付の記載

  これも有名な例ですが、○月吉日とした遺言は無効だということです。いまどき、吉日と署名する方の方がめずらしいとは思いますが、実際に無効とされたケースがございますので、お気を付けください。ただし、暦上の日付でなくとも客観的に特定出来れば良いとされています。「60歳の誕生日」「定年退職の日」なども有効とされています。しかし、よほどその日付に思い入れなどがない場合は、暦上の日付を記入されるのが良いと考えます。

要件③氏名の記載

  遺言者が誰であるか特定出来なければ意味がありません。戸籍上の氏名でなくとも、例えばペンネームも有効とされています。

要件④押印

  拇印でも有効だとされています。実印でなくとも良いとされていますが、こちらもよほどの思い入れがなければ、実印で押印されるのが良いと考えます。

以上が要件です。自筆証書遺言は費用も安く済み、お手軽ながら要件を満たせば法的に有効な遺言書です。ただ、遺留分や相続人以外に遺贈する場合など気を付けなければいけない点にご注意ください。

※平成31年1月13日より自筆証書遺言の方式が緩和されました。詳しくは自筆証書遺言の方式緩和のところをお読み頂けると助かります。

公正証書遺言

今回は、安心・安全第一、気が変わることは二度とないという方におすすめ、公正証書遺言です。公正証書遺言は、料金はかかりますが公証人の出張サービスなどもあり、多くの方に利用されています。通常は事前に、遺言する内容を公証人に送っておきます。遺言の当日に証人2人と共に公証役場に行き作成します。証人には要件がありますので、ご注意ください。また、どこの公証役場で作成しても良いとされていますので、お気に入りの場所で作成したという方もいらっしゃいます。そして、公正証書遺言の最大のメリットは、原本を公証役場で保管してくれるので偽造や変造の心配がなく、安心です。また検認の必要がなく、すぐに遺言を執行できるのも魅力です。しかし費用がかかります。相続人の人数に応じて、手数料は合算されますので、相続人が多い方は試算されるのが良いと考えます。また手数料は財産の価額が高くなるほど、高くなります。しかしこんなに費用をかけた、公正証書遺言も新しく書き直せば、新しい遺言が有効になります。公正証書遺言を作った後に、状況や思いが変わり、自筆証書遺言を有効に作成した場合は、新しく作成した自筆証書遺言があなたの遺言書となります。公正証書遺言には必要な書類もございます。下記をご参照ください。

・遺言者本人の印鑑登録証明書

・遺言者と相続人の関係がわかる戸籍謄本

・相続人以外に財産を遺贈する場合は、その人の住民票

・財産の中に不動産がある場合は、登記事項証明書と固定資産評価証明書

・証人の名前・住所・生年月日・職業などがわかるもの

 

遺言の検認

自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が必要です。検認とは、遺言書の偽造や変造の防止が目的の手続きです。相続人に対して、遺言書の存在とその内容を知らせて、遺言書の形状や加除訂正の状態、日付、署名などの遺言書の状態を明らかにすることです。ただ遺言書の有効・無効を判断するものではないということです。ならば、意味ないよな~と思われるかもしれませんが、検認の申し立ては、遺言書の保管者が相続開始の開始を知ったり、相続人が遺言書を発見したら速やかに行わなければいけないと定められています。検認せずに遺言を執行した場合、5万円以下の過料を科せられる恐れがありますので、遺言書を発見したらすぐ検認の手続きをしましょう。なお、公正証書遺言には、検認が要件とはなっていません。

以下に遺言書検認の申し立てに必要な書類を書いておきますので、ご参考になさってください。

・遺言書検認の申立書

・申立人・相続人全員の戸籍謄本

・遺言書の戸籍謄本・改正原戸籍謄本・除籍謄本)

・遺言書の写し

遺言の効力・期間

今回は、こちらもよくあるご質問です。遺言書の効力・期間ってどうなの?についてお話しさせていただきます。まず遺言書の期間についてですが、一番新しい遺言書が有効だとされています。公正証書遺言の回に少しお話しさせていただきましたが、公正証書遺言の後に、自筆証書遺言を新しく作成した場合、新しい自筆証書遺言が有効になります。遺言の種類によってではなく、あなたの最終意思が尊重されているのです。

また遺言書の効力についてですが、大きな効力を持っています。遺言書があれば、「形式の不備」や「遺留分の侵害」などがなければ、遺言書の内容通りに遺産は分配されます。遺言書がない場合、相続人間で遺産分割協議をしなければなりません。これには、相続人全員の同意が必要です。多くの相続トラブルはこの遺産分割協議の不成立が原因です。まあ普通に考えてそこそこ大きな金額が動くのに、全員の同意って難しいのは容易に想像できます。これは実務においても痛感するところです。僕の遺言を残してほしいという思いの原因の1つでもあります。ご家族が、争わないで済むように。。。

しかし遺言書があった場合でも、相続人全員の同意があれば、遺言内容と違う相続配分をすることができます。こういったケースは同意があるのでトラブルにはなりにくいです。あなたの意思を残して置くことがいかに、ご家族やご自身の為であるかを知って頂ければ幸いです。

 

限定承認

相続放棄、これは明らかに借金やマイナスの財産が多そうだなという場合です。しかし、実際には債務の額がいくらか?どの程度なのか?は分からない事もあると思います。そのような場合には、限定承認という方法があります。やり方はほぼ相続放棄と同じです。自分が相続人となった事を知った日から3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に限定承認の申述を行います。

しかし、大きな違いがあります。限定承認の手続きは相続人全員で行う必要があるのです。誰か一人でも反対していれば、限定承認は出来ません。これはなかなか大変です。よく使われる方法としては、限定承認に反対する人に相続放棄をしてもらうという方法があります。相続放棄をすれば、その人は相続人ではありませんので、相続人全員での手続きが可能となります。しかし、中には限定承認も相続放棄もいやだという人がいるかもしれません。その場合、あなたが相続放棄を申述して、債務を相続しないようにする必要があります。また、相続人の中に未成年者や成年被後見人がいる場合は法定代理人が代理で申述します。そして、ここでも法定代理人自身が相続人の場合は、特別代理人の選任の必要があります。以下に限定承認申述に必要な書類を明記しておきますので、ご参考になさってください。

・相続の限定承認申述書

・申述人・法定代理人等の戸籍謄本

・被相続人の戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍謄本、住民票除票または戸籍附票

・遺産目録

 

相続放棄の期限が迫っている場合

相続放棄、限定承認には自分が相続人になった事をを知った日から3か月以内に行なわなければならないという、期間が定められています。この3か月を熟慮期間といい、つまりこの間にしっかり考えなさいということです。そして、相続放棄、限定承認は一度行なったら撤回する事は出来ません。ころころ変わってしまっては、他の相続人に不利益を及ぼし、迷惑をかけるからです。しかしそうはいっても、3か月間の熟慮期間の期限が迫っても、遺産がどの位あるのか分からない事や、債務の額も不明だったりして、どの方法をとればいいのかなかなか決められない場合もあります。

そのような場合には、ぜひ「相続の承認または放棄の期間伸長を求める審判」を家庭裁判所に申し立てしましょう。申し立ては、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。平成○年○月○日迄、期間を伸長してもらいたいとの記載が出来るので、利用価値は高いです。この申し立ては自分の期間だけでなく、他の相続人の熟慮期間を伸長したい場合にも行うことが出来ます。

以下に必要な書類を明記しておきますので、ご参考になさってください。

・相続の承認又は放棄の期間伸長申立書

・申立人の戸籍謄本

・被相続人の戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍謄本、住民票除票または戸籍附票

 

相続税

相続税は相続人が被相続人から財産を引き継ぐ際に、相続財産の価値に対してかかる税金です。

相続税の課税対象となるのは、被相続人のプラスの財産からマイナスの財産を差し引いたものです。

よって被相続人に債務があれば、相続財産から控除することが出来ます。控除できる債務としては、借入金だけでなく、未払いの住民税や固定資産税などの税金、入院費などの医療費もふくまれます。またお通夜費用やお葬式費用、お布施なども相続財産から控除出来るとされています。しかし香典や香典返しの費用は控除出来ませんのでお気を付けください。また同様に、税理士への相続税申告費用や遺言執行費用なども控除出来ません。

 

終活とは

終活とはこれは単に「エンディングの活動」を示しているのではなく、「人生の終焉を見つめることを通して今をより良くじぶんらしく生きる活動」のことを言います。

また我々終活カウンセラーちは、終活のことを考えらえた時にでるさまざまな悩みや不安、私の葬式は誰がしてくれるのだろう、お金のことが心配だななどに対し、お困りごとの案内人となるのが役割です。皆さまのお話しをじっくり聞くのが終活カウンセラーの役目です。(一般社団法人 終活カウンセラー協会 チラシより抜粋)

 

相続登記

弊所に寄せられるご相談の中で多いのが、相続した建物の名義を変更するにはどうしたらよいか?というご質問です。遺言などがない場合は、遺産分割協議が必要となります。ここでは主なケースである遺産分割協議に基づく相続登記申請について説明します。必要な書類を下記の通りです。

 

1、被相続人の戸籍(除籍・改正原戸籍)謄本。

  出生から死亡に至るまで全て必要です。

2、共同相続人全員の戸籍謄本(戸籍抄本)

3、被相続人の除かれた住民票の写し(本籍地の記載があるもの)

4、遺産分割協議書

5、印鑑登録証明書

6、登記名義人となる相続人の住民票の写し(本籍地の記載のあるもの)

7、固定資産評価証明書

 

5の印鑑登録証明書は4の遺産分割協議書に押印した印鑑に関するものです。

申請先は不動産の所在地を管轄する法務局です。また登録免許税が必要になります。登録免許税は固定資産評価証明書に書かれた評価額の1000分4とされています。登記をご希望の方は提携の専門家(司法書士)をご案内致します。

農地の相続

農地はご存知の方も多いと思いますが、所有権移転などの権利が移転する場合、農地法指定の許可が必要になります。

しかし相続を原因とする農地の所有権移転の場合は、農地法指定の許可は不要となっています。またこれと同じように、遺産分割協議を原因とする農地の所有権移転登記も、農業委員会などの許可は不要とされています。

ただし遺贈により農地の所有権を移転する場合、包括遺贈は許可が不要とされていますが、特定遺贈の場合は許可が必要とされています。

遺産分割協議の対象財産

相続財産とは、被相続人(亡くなられた方)に属する一切の権利、義務とされています。俗に言う一身専属権などを除いたほとんどのものが相続財産です。もちろん借金などの負の財産も含みます。被相続人が死亡時に有していた財産は、相続の開始によって承継され、相続人が複数いる場合は、相続財産は共同相続人間での共有することになっています。

また被相続人の遺言がない場合は、原則共同相続人全員での遺産分割協議が必要になりますが、遺産分割協議をしなくても(法定)相続分で相続できるものがあります。法律上当然に分割されるものには、金銭債権その他の可分債権があります。損害賠償請求権などは、可分債権である金銭債権なので、遺産分割協議を行わなくても、当然に分割され、各相続人が相続分に応じて権利を承継するとされています。ただし実務上は、共同相続人全員が遺産分割の対象とすることに同意した場合は、可分債権であっても遺産分割の対象とすることも出来ます。

同じく、保険解約返戻金の支払請求権も、可分債権である金銭債権ですので、遺産分割を行わなくても当然に分割され各相続人が相続分に応じて権利を承継するとされています。

しかし現金については、不動産や掛け軸や絵画などの動産と同様に有体物として、遺産分割の対象となるとされています。

また、お墓や仏壇などの祭祀財産も相続財産ではありません。これは、祭祀主宰者が取得するとされています。遺骨は祭祀財産ではありませんが、こちらも祭祀主宰者に帰属するとされています。

祭祀主宰者

祭祀主宰者とは、被相続人(亡くなられた方)が祭祀財産を所有していた場合に、その祭祀財産を承継する人のことです。この祭祀主宰者は、被相続人の指定により、被相続人の指定がなければ、その地域の慣習によるとされています。指定方法ですが、口頭、書面、明示、黙示を問わないとされていますが、口頭、黙示では後々争いになりかねませんので、実務上では遺言に記載する方法が多いと感じています。

戸籍の編製原因

現在、役所で発行される戸籍は5種類です。

1、平成6年式戸籍

2、昭和23年式戸籍

3、大正4年式戸籍

4、明治31年式戸籍

5、明治19年式戸籍

の5種類ですが、2つに大別できます。1,2のグループと3,4,5のグループです。1,2のグループは、昭和22年の大改正後の民法(以下、「現民法」といいます。)に基づく戸籍です。3,4,5のグループは、それ以前の旧民法に基づく戸籍です。戸籍の編製とは、戸籍を新しく作成することをいいます。しかし、この編製原因は、旧民法と現民法では大きく異なります。

旧民法では、俗に言う「家」制度を重視していましたので、戸籍も戸主を中心に編製され、戸主が交代すれば、前戸主の戸籍は消除され、新しい戸主の戸籍が編製され、新しい「家」が創設されれば、新しく戸主を定めてその家の新戸籍が編製されました。そんな「家」制度を重視する旧民法での戸籍の編製原因は、次の6つです。

1、家督相続

戸主が交代すると、新しい戸主を筆頭とする戸籍がつくられます。

2、分家

二男、三男などが多い様に感じますが、当事者の意思により新しく家が創設され、新しく戸籍がつくられます。

3、一家の創立

嫡出子でない者が、両親の家に入れない場合など、法定の原因による「家」の創設によって、新しく戸籍がつくられます。

4、廃家又は絶家の再興

消滅した家を復活させて、その家の氏を称することになり、新しく戸籍がつくられます。ただし、家名のみの承継で、財産を承継するものではありません。

5、他市区町村からの転籍

これは、現民法でも同じです。

6、戸籍の改製

ここで注意して頂きたいのが、現民法では編製原因とされている「婚姻」は、旧民法では編製原因となっておりませんので、ご注意ください。

また、戸籍の編製原因は、戸主の事項欄に記載されていますが、明治31年式戸籍では、上記5と6以外の編製原因は、戸主の事項欄ではなく、「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日欄」に記載されています。

相続分の譲渡

民法上、直接相続分の譲渡を聞いて規定したものはありませんが、民法905条第1項は、相続分の取戻権を規定しており、取戻しの前提として相続分の譲渡が可能であるとされています。

民法905条

(相続分の取戻権)

➀共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。

②前項の権利は、一箇月以内に行使しなければならない。

自身の相続分を譲渡した場合、譲渡人は相続分がゼロになり、譲受人はその相続分が増加することになります。ここで、注意しなければならないのが、譲渡人は相続分はゼロになりますが、相続債務があった場合は、その相続債務は免れることはできません。相続債務を免れるには、家庭裁判所での相続放棄の申立てが必要になります。相続分の譲渡の要件ですが、有償無償は問わず、方式も問わないとされていますが、時期に関しては、遺産分割の前に行わななければなりません。また、相続分を譲渡した譲渡人は、遺産分割の当事者適格を有しないとされており、逆に譲受人は、当事者適格を有し、遺産分割協議に参加すべきとされています。よって、譲受人を参加させずになされた遺産分割協議は、無効とする説が有効です。

遺産の調査

お亡くなりになった方の遺産(相続財産)が不明な場合も多いかと思います。まずは、郵便物や通帳のチェックが大切です。通常、何らかの契約や不動産などがある場合は、契約に関する書類や固定資産税納税通知書が送付されてきたりしますので、まずそれがあるかどうかの確認が必要です。また通帳から、継続的に引き落とされているものがあるかどうかの確認も必要です。不動産の場合は、役場で名寄帳を取得すれば、その方(名義)の不動産が分かります。ただし、名寄帳は市町村単位での発行となりますので、該当する市町村にそれぞれで取得する必要があります。相続人であれば、自身が相続人であることが分かる戸籍等を持参すれば、発行してくれます。

預貯金は、横断的に調査する方法はありません。該当しそうな各金融機関に、個別に照会をかけることになります。氏名、生年月日、住所で紐づけをしている金融機関もございますので、被相続人の戸籍の附票や除籍の附票などを併せて取得されると良いです。

有価証券については、登録済加入者情報の開示請求を活用すると、上場株式等の口座を開設している証券会社や信託銀行に関しては横断的に調査することができます。

証券保管振替機構

https://www.jasdec.com/system/less/certificate/kaiji/chokusetu/index.html

法定相続情報証明制度

平成29年5月29日より、全国の法務局において相続手続きに利用できる法定相続情報証明制度が始まりました。弊所も相続手続きの際には、こちらの制度を必ず利用させて頂いております。兄弟姉妹が相続の場合などは、戸籍の量も膨大になります。毎回相続手続きの窓口で膨大な戸籍を提出する必要もなく、窓口の担当者の方も相続人が一目で分かるので、作業効率も良くなったように感じます。法定相続情て報証明制度が開始された当初は、利用出来ない窓口もあったそうですが、弊所の相続手続きで、法定相続情報一覧図を提出して、使えないと言われたことはございません。弊所は宮崎地方法務局に提出する場合が多いのですが、法定相続情報証明制度の申出から翌日には発行される場合もあるので、非常にた助かっています。相続人の人数プラス弊所の保管用と予備2通位を請求することが多いです。

法定相続情報証明制度

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html

森林の所有者変更の届出

農地を相続した場合は、農業委員会へ相続した旨の届出が必要です。同じく森林を相続した場合も、市町村長に届出が必要な場合があります。すべての森林が対象ではなく「地域森林計画」の区域内の場合です。地域森林計画の区域内かどうかは市町村の森林担当課(宮崎市の場合は、森林水産課)で問い合わせると教えて頂けます。県のホームページにも載っているそうですが、正直わかりづらいです。そもそも相続した森林の場所が分からないという場合もあるかと思います。不動産登記簿謄本の地番と住所とは違うからです。そんな場合は、資産税課で航空写真地番図を発行してもらえば場所の特定ができます。宮崎市の場合は1通300円です。

 

森林の土地の所有者届出書

https://www.city.miyazaki.miyazaki.jp/business/agriculture_and_fisheries/forestry_fisheriesindustry/139486.html

胎児は相続人?

結論から言うと。胎児は、生きて生まれたときに初めて相続人となります。

民法第886条

➀胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす

②前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

とされています。

ただし、登記の実務では、胎児名義の登記を認めているようです。

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