終活の中でも特に重要なのが遺言書の作成です。今回は、遺言書の種類とそれぞれの特徴、そして「遺言書が特に必要な方」について解説します。
遺言書がないとどうなる?
遺言書がない場合、亡くなった方の財産は、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で分け方を決めることになります。この協議は相続人全員の合意が必要で、一人でも反対すればまとまりません。「うちの家族は仲が良いから大丈夫」と思われる方が多いのですが、相続をきっかけに関係がこじれるケースは、ごく普通のご家庭でこそ起きています。遺言書があれば、原則としてその内容どおりに財産を承継でき、ご家族の負担と争いのリスクを大きく減らせます。
遺言書の3つの種類
普通方式の遺言書には3種類あります。
自筆証書遺言は、遺言者が全文・日付・氏名を自書し、押印して作成する遺言です。費用がほとんどかからず、いつでも一人で作成できる手軽さが魅力です。ただし、法律の要件を一つでも欠くと無効になる、紛失や改ざんのリスクがある、発見されない可能性があるといった弱点があります。ただし、現在は法務局に預ける「自筆証書遺言書保管制度」(手数料3,900円)を利用することで、紛失リスクなどをカバーできます(詳細は第4回)。
公正証書遺言は、公証人が遺言者から内容を聞き取り、公正証書として作成する遺言です。法律の専門家である公証人が作成するため無効になるリスクが極めて低く、原本が公証役場に保管されるため紛失・改ざんの心配がありません。家庭裁判所の検認手続も不要です。費用は財産額に応じた公証人手数料がかかります(詳細は第5回)。確実性を重視するなら第一の選択肢です。
秘密証書遺言は、内容を秘密にしたまま遺言書の存在だけを公証人に証明してもらう方式ですが、実務ではほとんど利用されていません。
遺言書が特に必要な方
次のような方は、遺言書の必要性が特に高いといえます。
・子どものいないご夫婦(配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹が相続人になり、話し合いが難航しがちです)
・再婚で前の配偶者との間にお子さまがいる方
・相続人以外に財産を渡したい方(内縁の配偶者、お世話になった方、寄付など)
・財産の大半が自宅など分けにくい不動産の方
・相続人同士の関係が疎遠な方
・おひとりさまの方
です。
心当たりがある方は、早めの準備をおすすめします。
費用の全体像 ― 3種類の遺言書の比較
費用面を整理すると、
自筆証書遺言は自分で書けば実質無料、法務局保管制度を使っても3,900円です。専門家に文案作成を依頼する場合はその報酬が加わります。
公正証書遺言は、財産額に応じた公証人手数料(数万円程度が中心)に加え、専門家に依頼する場合の報酬、証人の日当などがかかります。金額だけ見ると自筆証書遺言が有利ですが、方式不備や内容の欠陥で無効・紛争になった場合の損失は桁違いに大きくなります。「費用の安さ」と「確実さ」のバランスをどう取るかが選択のポイントで、財産に不動産が含まれる方や相続関係が複雑な方には、当事務所では公正証書遺言をおすすめすることが多いです。
よくある質問(FAQ)
Q. 遺言書は一度作ったら変更できませんか?
A. いつでも何度でも変更・撤回できます。新しい遺言書を作れば、内容が抵触する部分は新しいものが優先されます。「今の気持ちで確定してしまうのが怖い」という理由で作成を先延ばしにする必要はありません。むしろ、まず現時点の内容で作成し、状況が変わったら作り直すのが実務的です。
Q. 遺言書に書けば何でも実現できますか?
A. 法的効力が認められるのは、財産の処分、認知、未成年後見人の指定、遺言執行者の指定など法律で定められた事項です。葬儀の希望などは「付言事項」として書けますが法的拘束力はありません。ただし付言事項に想いを綴ることで、ご家族が遺言の内容に納得しやすくなる効果は大きく、実務では重視されています。
Q. 夫婦で一緒に1通の遺言書を作れますか?
A. できません。共同遺言は法律で禁止されており無効です。ご夫婦それぞれが1通ずつ作成する必要があります。ご夫婦同時のご相談・作成のサポートは可能です。
宮崎市で遺言書の相談なら
かねこ行政書士事務所では、遺言の内容のご相談から、文案の作成支援、公証役場との調整まで一貫してサポートしています。宮崎市で遺言書の作成をお考えの方は、お気軽にご相談ください。次回は自筆証書遺言の書き方と法務局保管制度を詳しく解説します。
