終活を始める最初の一歩として最適なのが「エンディングノート」です。今回は、エンディングノートに書くべき項目と、多くの方が誤解されている遺言書との違いについて解説します。
エンディングノートとは
エンディングノートとは、ご自身の情報や希望を家族に伝えるためのノートです。書店で市販されているほか、自治体や葬儀社が無料で配布しているもの、普通の大学ノートに自分で項目を立てて書く方法でも構いません。決まった形式はなく、書き直しも自由です。
最重要ポイント:エンディングノートに法的効力はない
まず知っておいていただきたいのは、エンディングノートには遺言書のような法的効力がないことです。「財産は長男に相続させる」とノートに書いても、法的には何の拘束力もありません。財産の分け方について希望がある場合は、必ず法律の要件を満たした遺言書を作成する必要があります。エンディングノートは「想いや情報を伝えるもの」、遺言書は「財産の行き先を法的に決めるもの」と役割を分けて考えましょう。両方を用意し、エンディングノートに「遺言書は〇〇に保管している」と書いておくのが理想的な組み合わせです。
エンディングノートに書いておきたい項目
第一に、自分自身の基本情報です。本籍地(相続手続きで戸籍を集める際に家族が必ず必要とします)、生年月日、家系図的な親族の情報を書いておくと、手続きの負担が大きく減ります。
第二に、財産に関する情報です。預貯金の金融機関名と支店名(暗証番号は書かないでください)、不動産の所在、生命保険の保険会社と証券番号、有価証券、負債(借入・保証)の有無です。ご家族が一番困るのが「どこに何があるか分からない」ことです。
第三に、デジタル関係の情報です。スマートフォンの解除方法の手がかり、ネット銀行・ネット証券の存在、月額課金しているサービスなどです(詳しくは第9回で解説します)。
第四に、医療・介護の希望です。延命治療についての考え、介護が必要になったときの希望、かかりつけ医と持病・服薬の情報です。
第五に、葬儀・お墓の希望と、連絡してほしい友人・知人のリストです。
書き方のコツは「完璧を目指さない」
最初から全部埋めようとすると挫折します。書けるところから書き、年に一度(誕生日やお正月など)見直す習慣をつけましょう。書いたことをご家族に伝え、保管場所を共有しておくことも忘れずに。せっかく書いても発見されなければ意味がありません。
市販ノート・無料ノートの選び方
エンディングノートを選ぶときは、「項目の多さ」より「自分が書き続けられそうか」で選んでください。項目が細かすぎるノートは最初の数ページで挫折しがちです。初めての方には、財産・医療・葬儀・連絡先の基本項目がコンパクトにまとまった薄手のものをおすすめします。書き込み式にこだわらず、通帳や保険証券のコピーを貼り付けるファイル型の整理も実用的です。また、宮崎市など自治体や社会福祉協議会が終活関連の啓発冊子を配布していることもありますので、窓口で尋ねてみるのもよいでしょう。大切なのは形式ではなく、「家族が読んで分かること」「保管場所を家族が知っていること」の2点です。
よくある質問(FAQ)
Q. エンディングノートはどこで手に入りますか?
A. 書店や文具店で市販されているほか、自治体・社会福祉協議会・葬儀社などが無料配布している場合もあります。市販品は項目が整理されている点が長所ですが、全項目を埋める必要はありません。普通のノートに「財産」「医療」「葬儀」「連絡先」の4項目を立てて書くだけでも十分に機能します。
Q. エンディングノートは何冊も書き直していいのですか?
A. 構いません。遺言書と違って法的効力がないため、方式の制約もなく自由に書き直せます。むしろ年1回の見直しをおすすめします。古いものは混乱のもとになるので、破棄するか「旧版」と明記しましょう。
Q. パソコンやスマホのアプリで作ってもいいですか?
A. 法的効力がないものなので形式は自由で、デジタルで作っても問題ありません。ただし、ご家族が確実に見つけて開けることが大前提です。紙に印刷して保管場所を伝えておくか、データの場所と開き方を紙で残しておきましょう。
エンディングノートを書いて「遺言書が必要」と感じたら
ノートを書き進めると、「この財産の分け方は揉めるかもしれない」と気づく方が多くいらっしゃいます。そのときが遺言書作成のタイミングです。
かねこ行政書士事務所では、宮崎市でエンディングノートの書き方講座のご案内から遺言書作成のサポートまで行っています。お気軽にご相談ください。
次回は、遺言書の種類と選び方について解説します。
