相続ブログ第7回:付言事項の活用
はじめに
遺言書は「財産の分け方」だけを記載するものと思われがちですが、実は 「付言事項」 を活用することで、家族への気持ちや願いを伝えることができます。
付言事項は法的効力こそありませんが、相続トラブル防止や家族の心の支えとなる大切な要素です。
付言事項とは?
付言事項とは、遺言の本文(財産分配の指定)以外に自由に書けるメッセージ部分です。
記載例:
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家族への感謝の言葉
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特定の相続人に多く財産を渡す理由
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葬儀や供養の希望
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お世話になった人への感謝
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家族への想い
活用例
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感謝の気持ちを伝える
「これまで支えてくれた妻と子どもたちに感謝しています。」 -
相続の理由を説明する
「長女には生前から介護で世話になったため、やや多めに相続させます。」 -
供養・希望を書く
「私の遺骨は宮崎市の○○霊園に納めてほしい。」
メリット
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相続トラブルを防止できる
理由を明示することで不満をやわらげられる。 -
心のメッセージを残せる
感謝や願いを伝えることで温かい遺言になる。 -
相続人の心理的負担を軽減
「なぜこう分けたのか」が理解できると納得感が増す。
注意点
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法的効力はないため、分配は本文に必ず明記する
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感情的な表現ではなく、冷静で丁寧に書くことが大切
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書きすぎると相続人が混乱する場合もある
Q&A:付言事項に関するよくある質問
Q1. 付言事項を書かないといけないのですか?
A. 書かなくても遺言は有効です。ただし、付言事項を添えることで円満な相続につながることが多いため、積極的に活用されることをおすすめします。
Q2. 付言事項に「財産の分け方」を書いてもいいですか?
A. 財産分配は法的効力のある本文に記す必要があります。付言事項に書いても効力はありません。必ず本文に記載し、補足や理由を付言事項に書きましょう。
Q3. 感情的なことを書いても大丈夫ですか?
A. 問題はありません。ただし、相続人に負担を与えるような表現は避け、感謝や希望など前向きな内容にすると良いです。
Q4. 付言事項は口頭で伝えるのと何が違いますか?
A. 遺言に書いておけば、確実に全員に伝わります。口頭だと「言った・言わない」でトラブルになる恐れがあるため、文書で残す方が安心です。
まとめ
付言事項は、遺言を「単なる財産分配の書類」から「家族へのメッセージ」に変えてくれる大切な要素です。宮崎でも「付言事項を入れたい」というご相談は増えています。
かねこ行政書士事務所では、遺言書作成とあわせて付言事項の書き方アドバイスも行っています。円満な相続のために、ぜひご相談ください。
サンプル付言事項集(文例)
📌 以下は、実際に遺言書に記載できる「付言事項」のサンプルです。必要に応じてアレンジして使えます。
1. 家族への感謝
「これまで私を支えてくれた妻○○、そして子どもたちに心より感謝します。皆が仲良く助け合いながら過ごしてくれることを願っています。」
2. 相続の理由を説明
「長男には生前、療養中の私を献身的に支えてくれたため、他の相続人より多く財産を相続させます。どうか皆さんも理解していただけると幸いです。」
3. 葬儀・供養の希望
「葬儀は質素に行い、家族だけで見送ってほしい。納骨は宮崎市の○○霊園にお願いします。」
4. 財産の使い方を願う
「相続した財産は、子どもや孫の教育費に役立ててもらえると嬉しいです。」
5. 家族への思い
「私が亡くなった後も、きょうだい仲良く助け合い、笑顔で過ごしてください。」